「日本茶専門店 茶倉」元町で本格的な日本茶を楽しめる隠れ家カフェ

元町仲通りから代官坂へ向かうと、すぐ右手にひっそりと佇む日本茶専門店「茶倉」

大きな看板があるわけでもなく、うっかり通り過ぎてしまうかと思うくらいシンプルで素朴な店構えですが、どこか風情のある佇まいに惹かれて入ってみました。
現地レポートとオーナーさんへのインタビューをお届けします。

目次

伝統と現代、和と洋が融合するシンプルモダンなアート空間

木枠のガラス戸を押して入ると、カランと優しいベルの音がお出迎え。正面のカウンター奥はキッチンになっていて、入り口との間にテーブル席が2卓あります。

入口横には販売用の茶葉がズラリ。お店で味わうことのできる茶葉はすべてここで購入できるので、実際に飲んで気に入ったお茶をおみやげに購入して帰るお客様も多いそうです。

奥へ進むと、温かみのある吊り下げ照明と、木目調テーブルの濃いブラウンが和のテイストを醸し出しています。

火鉢の上で鉄瓶が湯気を出していて、どこか懐かしい古き良き日本を感じられる一面にほっこり。穏やかな時間が流れます。

開港当時に日本茶が横浜から輸出されていた頃の英字ヴィンテージ看板が、そこへうまく溶け合ってシンプルモダンな雰囲気を作り出しています。

古き良き伝統と現代、和と洋が融合された横浜らしい空間。

穏やかな洋楽のバラードが流れ、落ち着ける大人の隠れ家のようなカフェです。
壁面にはアートレーンがあり、写真や作品を飾るイベントスペースとしても利用されているとのこと。

写真の個展や焼き物の作品展・販売もおこなわれており、3月末には「常滑焼」のイベントも予定しています。

これはなかなか見ることができない、ろくろで手づくりする急須の実演作業が見られる機会です。

店内にも置かれている常滑焼の急須は、オーナーさんも好きで集めているというもので、可愛らしい丸いフォルムの小ぶりな急須です。

通常、急須は型に入れて作られるのが一般的ですが、この常滑焼はろくろで手づくり。

内部の茶こし部分や蓋の繊細な部分まで、手作業であっという間に作ってしまうのだそうです。イベントでは実演と展示だけではなく、作品の購入もできます。

また、2月11日(火・祝)から16日(日)まで「茶心by横浜アーティザン第三回」と題して、このお店でも使用されている「横浜焼」のアーティスト増田博一さんの作品展と、ハンドペイント体験教室、そのご夫人によるハンレーカレーお料理教室が開催されます。

横浜焼とは、開港後の横浜で造られて世界を魅了した陶磁器ですが、大震災や空襲などで失われて途絶えてしまったそうです。

それでも5年前までここ茶倉の向かいに、横濱焼の伝統と精神を受け継いた横濱増田窯という最後の横濱焼のギャラリーがあったそうですが、2015年に閉店。その最後の横濱焼絵付け人である増田博一さんが、今回ここ茶倉で作品展と絵付け体験教室をおこないます。

ハンレーカレーとは、タイのチェンマイで生まれた、タイとミャンマーのエッセンスが融合したエキゾチックな味わいのカレーだそうです。

オーナーさんはこのカレーに合う日本茶を現在考案中。お茶にスパイスをブレンドして、新しい味わい作りに挑戦しています。

お料理教室は2月12日(水)、とにかくハンレーカレーを食べてみたいという人は2月13日(木)15時から19時の間、茶倉で食べることができます。

ハンドペイント体験教室は、同じく2月13日(木)の15時から17時です。
気になる方はぜひお店にお問い合わせの上、ご予約下さい。

体が温まる新ランチメニュー「豆乳のオムシチュー」

ランチメニューの定番は

  • 豆腐ハンバーグセット(サラダ、ほうじ茶ご飯付き)
  • 豆乳オムライスセット(サラダ、ほうじ茶ご飯付き)
  • 豆乳湯豆腐セット(漬物、煮卵、ほうじ茶ご飯付き)
  • 豆乳シチューセット

季節の新メニューは

  • オムシチュー

すべてにお好みの選べるお茶がセットで、1380円。
ミニデザート(抹茶ババロアorほうじ茶ブラマンジェ)を付けるとプラス370円です。

セットのお茶は

  • 八女オーガニック抹茶
  • 抹茶SAKURAスタイル
  • 手焼きほうじ茶
  • 濱番茶
  • ゆずほうじ茶
  • 抹茶入り黒玄米茶

この6種類から選べます。

今回は季節の新メニュー、豆乳を使った「オムシチュー」を注文することにしました。このオムシチューは3月まで食べられます。

季節メニューは季節ごとに変わり、夏はサラダや抹茶のそうめんなど、その時の気候に合わせてお茶と相性の良い新メニューを開発しているそうです。

熱々のオムシチューは寒いこの時期にぴったり。体が中から温まります。
新鮮な豆乳をたっぷり使った優しい味で、にんじん、ブロッコリー、じゃがいもなどの大きな具材がゴロゴロ。

オムライスはとろーり卵の下にケチャップが隠れていて、豆乳の優しい味わいの中で酸味と塩気がアクセントになっています。
お米はチキンライスではなく、ほうじ茶で炊いたお米。

豆乳とケチャップとほうじ茶ごはん、なんとも不思議な組み合わせですが、ふんわりほうじ茶の香りが豆乳シチューにマッチして、意外なおいしさがありました。

ボリューム満点でお腹がいっぱいになるオムシチューは、優しいお母さんが体のためを思って手づくりしてくれたような、体にも心にも優しいご飯です。

セットのサラダも、小ぶりに見えてもしっかりと量があります。
カリカリ香ばしいフライドオニオンがのった、パリパリのレタスに水菜たっぷりの新鮮サラダです。

ラズベリーゼリーがベストマッチ「ほうじ茶ブラマンジェ」

お腹がいっぱいでも、デザートは別腹です。
デザートセットで「ほうじ茶ブラマンジェ」をお願いしました。

ほうじ茶ブラマンジェの上にたっぷりクリームと可愛いお花型のほうじ茶クッキー、ラズベリーゼリーが美しい小鉢です。

甘さ控えめで、ほうじ茶をしっかり感じられるなめらかな口当たりのブラマンジェに、甘いクリームがぴったり。厚焼きでほっくりした食感のほうじ茶クッキーがまた合います。

ラズベリーゼリーは見た目の美しさだけでなく、食べてもその食感と美味しさにびっくり。
ラズベリーのつぶつぶした歯ざわりと噛みごたえ、ツルッとしたゼリーののどごし、爽やかな甘酸っぱさの織りなすハーモニーがやみつきになる美味しさです。

はじめはほうじ茶ブラマンジェだけで、次はブラマンジェとクリームを一緒に、最後はラズベリーゼリーと一緒に爽やかな甘酸っぱさをプラスして。

色々な楽しみ方ができて、小鉢ながらも底までぎっしり、大満足のボリュームです。

マグカップで抹茶が飲める「SAKURAスタイル」

セットのお茶は、オーナーさんにおすすめいただいた「SAKURAスタイル」を注文。
茶倉オリジナルメニューのマグカップで飲む抹茶で、横浜焼のカップで運ばれてきます。

抹茶が飲みたいけれど、抹茶だけでは量も少なく味も濃すぎる…という方のために、抹茶に粉茶をブレンドし、すっきりと飲みやすく仕上げたお茶。
ビタミンがたっぷりで、風邪の予防などにも役立ちます。

表面にはきめ細やかな抹茶の泡が立っていて、泡を飲んだ下には綺麗なグリーン。

お茶ってこんなに美しいんだ…と思わず見とれてしまうほど、美しいグリーンの深い色合いが楽しめます。

抹茶の良い香りが立ちながら、粉茶ブレンドのおかげで苦味が濃すぎることもなく、スッキリとした味わい。
その奥にある深く落ち着ける滋味が、ほっと心まで温めてくれるようです。

抹茶でありながらも、通常の日本茶をいただくようにさらりと飲むことができて、うまみと甘み、苦味と香りといった抹茶と緑茶の良いところを全部楽しめる嬉しいお茶。

たっぷりサイズで、食事にもデザートにも良く合います。

本物と呼べる日本茶を、もっと身近で気軽に楽しんでもらえるように

茶倉は2002年に日本茶専門店としてオープンしました。以来18年、元町を訪れるお客様に愛され、ここでしか味わうことのできない美味しいお茶やスイーツのために、週末には行列ができます。

オーナーさんはそれまで全く違うお仕事をされていたそうですが、お店の開店準備をしている頃、ご友人が連れて行ってくれた静岡県牧之原にある美しい茶畑で、感動の出会いがあったそうです。

それは茶畑現地で淹れてもらった一杯のお茶との出会い。
現地の農園で獲れたこだわりのお茶を、本格的に淹れてもらうことでこんなにも違うものなのかと驚きがあったそうです。

もともとおばあちゃん子で日本茶に親しみがあったオーナーさんですが、その美味しさに感激し、こんな本格的な美味しいお茶を気軽に楽しむことができる場所ができたらと思い、茶倉が生まれました。

当時、コーヒーや紅茶の専門店はあっても日本茶の専門店は数少なく、本格的な日本茶というと茶道のイメージがあり、敷居の高いものでした。
そんな中、もっと気軽に、もっと身近に本格的なお茶を楽しめるようにできないかと考えたそうです。

そこで、生産地をめぐり、確かなものづくりをする農家さんと現地で直接の信頼関係を結ぶことによって、最高品質の茶葉を良心的な価格で提供することを実現しました。

本物と呼べるこだわりの茶葉を、鉄瓶で沸かしたお湯を使って丁寧に。

ペットボトルではなく一杯一杯人の手が淹れたお茶を飲んで、日本茶が持つ本来の深い味わいに出会い、ほっと一息ついてほしいという思い。
高品質な日本茶をカジュアルに、新しい形でも気軽に楽しめるように、メニュー開発にも力を注ぎます。

和と洋、古いものと新しいもの、多彩な文化が融合するここ横浜らしく、色々なことにこれからも挑戦していきたいというオーナーさん。

飲みやすいオリジナルブレンドや元町霧笛楼フレンチとのコラボブレンド、次回の横浜焼イベントのハンレーカレーに合うスパイスブレンドなど、日々進化を続けています。

美味しい日本茶でほっと一息つきたくなったら、元町の日本茶専門店茶倉へ。

本物のお茶が楽しめるのはもちろんのこと、文化や芸術、古き良き日本の伝統と日々進化する新しい発見にも出会うことができます。

日本茶専門店 茶倉の店舗情報

店名日本茶専門店 茶倉
住所〒231-0861 神奈川県横浜市中区元町2丁目107
営業時間11:00~19:00 日曜営業 ※月曜定休
電話番号045-212-1042

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次